バロックの試み

17世紀頃のヨーロッパに登場する美術様式「バロック」。バロック美術の特徴は、風俗画が登場しはじめたことが大きいようです。宗教画が主だった美術の創作目的だった時代から、庶民の何気ない暮らしの一場面を描く作品が登場することは画期的にも時代の変化を表す風潮であります。さらには、ルネサンス美術の調和を越えようとインパクトのある構図やポーズを作品に取り入れることで新たな挑戦を試みる芸術家たちの創作意欲を感じる作品が多くみられます。そこにはルネサンス美術の勢いを越えてみたいというような作家たちの意気ごみが託されているようにも思えます。この時代、風俗画や静物画が数多く描かれるようになった理由の1つは、美術品が市民の手にも渡りはじめたことを表してもいるのだそうです。ドラマティックで人間味触れる美術の世界がバロックとして登場したようです。