枠取りされたキリスト像
サンカリストのカタコンペに残るフレスコ画ですが、キリストや聖人像などが、緑や赤の枠取りで囲われている状態が識別できるようです。枠取りされたキリスト像は、壁に眠る遺体を見守っているという形になっています。そんな中で、礼拝や埋葬に訪れる信者たちに聖書の物語を伝えようとした図像があるわけです。キリスト像というのは、丸い枠に囲われていることが多いそうです。また、クビクルムのひとつには、世界の中心を司るかのように幾重にもなった同心円の中央にキリスト像が描かれています。円というのは永遠を表します。また、宇宙も象徴する完璧な形です。だからこそ、枠取りとして採用したと考えられます。キリスト教はやがてローマ、ミラノなどの主要都市から、地方都市まで広まっていきます。礼拝の場として聖堂が各地に建てられるようになるのです。