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残る額縁から情報をえる困難さ

数多ある絵画に関する資料から額縁の歴史的な背景の全体像を知り得るものは、非常に少ないと言われています。しかも減少に歯止めがかからないとされ、さらに現存する額縁が当初から絵画との組み合わせがされていたとは限らず、むしろそうでないことの方が多いというのが実情のようです。

そうなると如何に現存する額縁から多くの情報を得られるかがポイントとなってきます。その手立てとして工芸の技術や技法としての側面からの考察が非常に重要なものとなってきます。

使用されている材質や指物と言われる部分の製作方法、下地塗りの仕方などその要素となるもので、単に目視で得られる情報はほんのわずかで、その困難さは容易に想像できそうです。

例えば、『受胎告知』と名付けられた北部ライン地方作と言われる作品には絵と額縁の両方に継ぎ目がはっきりと確認されますが、明らかに材質が同一ということから、後日接合されたのではなく1枚板から彫ったものという判断ができるという具合です。

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