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19世紀の額縁と、中古の額縁

アーティストの中には、エヴァの肖像にあるように、すでに額縁に入れたキャンバスの中に絵を描く人がいたということも分かります。とは言えこの肖像画は、見たままを写して描く実写主義というよりも、アレゴリー(寓意)に近いものと考えて良いでしょう。19世紀の後半に入ってくると、古い額縁を新しい絵に付けるというアイデアが生まれてきます。ここで「絵画にオリジナルの額縁を付ける」という言い方もされるようになってきます。例えばルノワールの作品に『水浴』があります。この作品自体は1880年代後半の辺りに描かれたものとされていますが、使われている額縁は18世紀の頭頃に作られたものです。この額縁自体は古いものですが、さらに雰囲気が出るように、元々はられていた金メッキの上にグレーの塗料をかけたり、わざと擦って下地が見えるような工夫がされています。絵に合わせて額縁の雰囲気も変えるという工夫は、中古額縁が流行っていたからこそと言えるでしょう。

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